指定難病という言葉を耳にしたことはあっても、「具体的にどんな病気が当てはまるのか」「診断されたらどんな支援が受けられるのか」、なかなか整理しきれていない方も多いのではないでしょうか。
このページでは、指定難病の定義や対象疾病の数、患者数の多い代表的な疾患、そして指定難病を抱えながら働くうえで活用できる支援制度や相談先まで、できるだけわかりやすくお伝えします。
指定難病とは?「難病」と「指定難病」の違い
まず大前提として、「難病」と「指定難病」は同じではありません。
難病とは、2015年に施行された「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」で定義された概念で、次の4つの要件をすべて満たす病気のことをいいます。
- 発病の機構(しくみ)が明らかでない
- 治療方法が確立していない
- 希少な疾病である
- 長期の療養を必要とする
この4つに加えて、さらに2つの要件を満たし、厚生労働大臣によって指定されたものが「指定難病」です。
その追加要件とは、「患者数が日本において一定の人数(人口のおおむね0.1%程度)に達していないこと」と、「客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が確立していること」です。
つまり、指定難病は難病のなかでも、国が医療費助成の対象として公式に認定した疾患のことを指しています。
現在の指定難病は何種類あるか
指定難病の数は研究の進展に合わせて定期的に見直されており、2025年4月1日からは348疾病が対象となっています(厚生労働省)。
制度が始まった2015年当初は110疾病でしたから、10年で3倍以上に増えたことになります。
指定難病に認定されるかどうかは、厚生科学審議会の指定難病検討委員会での審議を経て、毎年、厚生労働大臣が判断します。現在は対象外の病気であっても、研究が進めば今後指定される可能性もあります。
指定難病を患っている人はどれくらいいるか
指定難病は「希少な疾病」であることも要件のひとつですが、「指定難病」という括りで見たとき、その患者さんの数は決して少なくないことも事実です。
国の調査では、特定医療費(指定難病)受給者証を所持している患者さんの数は100万人を超えており、実際の患者数はさらに多いとも言われています(受給者証を取得していない方や、軽症で助成対象外の方もいるため)。
指定難病は種類が多く、同じ病名でも症状の重さや進行具合には個人差があります。「難病だから必ず重症」というわけではなく、症状をうまくコントロールしながら日常生活や仕事を続けている方も多くいます。
難病を取り巻く誤解について
「難病」という言葉には、どうしても「治らない重い病気」というイメージが伴いがちです。
確かに現時点では根治療法が確立されていない疾患が多いのは事実ですが、医療の進歩によって症状を長期間安定させることができる病気も増えています。
たとえば潰瘍性大腸炎やクローン病では、適切な薬物療法によって寛解状態(症状がおさまった状態)を維持しながら働いている方が多くいます。パーキンソン病においても、薬や理学療法の組み合わせによって自立した生活を続けることが可能なケースは少なくありません。
「難病=働けない」ではなく、「病気と折り合いをつけながら、どう働くかを考える」という視点がとても大切です。そしてそのための環境づくりや相談の場が、今は少しずつ広がっています。
患者数の多い指定難病・上位5疾患
指定難病のなかでも、国内で特に患者数が多いとされるのが次の5つの疾患です。それぞれに詳しく解説した記事も用意していますので、気になる疾患名をクリックしてみてください。
1位:潰瘍性大腸炎(指定難病97)
大腸の粘膜にびらんや潰瘍が生じる炎症性の疾患です。
血便を伴う下痢や腹痛が繰り返されることが特徴で、症状が落ち着いている「寛解期」と悪化する「再燃期」を繰り返すことが多いとされています。
若い世代にも発症しやすく、受給者証所持者数では全指定難病のなかでも上位に入ります。
【詳しく読む】潰瘍性大腸炎と働くこと(準備中)
2位:パーキンソン病(指定難病6)
脳内のドーパミン神経細胞が減少することで、手足のふるえ、筋肉のこわばり、動作の緩慢さ、姿勢保持の困難さなどが現れる病気です。
60〜70代に多く見られますが、若年性パーキンソン病として40代以下で発症するケースもあります。
完治する治療法はまだないものの、薬物療法やリハビリによって症状をコントロールしながら生活している方も多くいます。
【詳しく読む】パーキンソン病と働くこと(準備中)
3位:全身性エリテマトーデス(SLE)(指定難病49)
自己免疫疾患のひとつで、本来は体を守るはずの免疫が自分自身の組織を攻撃してしまうことで、皮膚・関節・腎臓・心臓など全身のさまざまな臓器に炎症が起きます。
20〜40代の女性に多く見られるのが特徴で、日光に当たることで症状が悪化することもあります。疲れやすさや関節痛など、一見「よくある体の不調」と混同されやすい点も、この病気の難しさのひとつです。
【詳しく読む】全身性エリテマトーデスと働くこと(準備中)
4位:クローン病(指定難病96)
口腔から肛門に至る消化管のどの部位にも炎症が起こりえる慢性疾患です。特に小腸末端部に好発し、腹痛・下痢・体重減少・血便などの症状が現れます。
10〜20代の若い世代に多く発症するため、学業や就職・仕事への影響が大きくなりやすい病気でもあります。
【詳しく読む】クローン病と働くこと(準備中)
5位:好酸球性副鼻腔炎(指定難病306)
副鼻腔(鼻の周囲の空洞)に好酸球(白血球の一種)が集まり、慢性的な炎症を起こす疾患です。
嗅覚の低下や鼻づまり、鼻ポリープの形成などが特徴で、手術後も再発しやすいことが知られています。比較的近年になって指定難病に追加された疾患で、患者数は増加傾向にあります。
【詳しく読む】好酸球性副鼻腔炎と働くこと(準備中)
指定難病と診断されたら受けられる支援制度
指定難病と診断され、一定の基準を満たした場合、さまざまな支援制度を利用することができます。
指定難病の診断をされた方が受けられる支援制度について、いくつかご紹介いたします。
特定医療費(指定難病)助成制度
最もよく知られているのが、医療費の自己負担を軽減する制度です。
通常の医療費は3割負担ですが、指定難病の医療費助成が適用されると、所得に応じた「自己負担上限額」が設定され、月々の医療費の負担を抑えることができます。
対象になるのは、重症度分類に基づいて一定の基準を満たすと認められた患者さん、または医療費が月33,330円を超える月が年に3回以上ある方(軽症高額該当)などです。
助成を受けるためには、主治医が作成する「臨床調査個人票」をもとに都道府県への申請が必要ですので、詳しくは主治医や保健所に相談してみてください。
障害者総合支援法による福祉サービス
指定難病に限らず、「障害者総合支援法」の対象に含まれる難病の患者さんは、障害者手帳を持っていなくても障害福祉サービスを利用できる場合があります。
就労継続支援(A型・B型)や就労移行支援、居宅介護、短期入所といったサービスが対象となります。
障害者総合支援法の対象疾病は難病法の指定難病よりも範囲が広く、2025年時点で376疾病が対象となっています。
自分の疾患が対象かどうかは、お住まいの市区町村の福祉窓口や保健所で確認することができます。
難病相談支援センター
各都道府県に設置されている「難病相談支援センター」は、難病患者さんとそのご家族が気軽に相談できる総合的な窓口です。療養生活に関する悩みだけでなく、就労に関する相談や、ハローワークなどの関係機関との連携も行っています。
大阪府には「大阪難病相談支援センター」が設置されており、専門の相談員が対応しています。もしもあなたが大阪府にお住まいであれば、一度ご相談してみると良いでしょう。
指定難病を抱えながら「働く」ことについて
指定難病の診断を受けたとき、「もう普通に働けないかもしれない」と感じる方は少なくないと思います。でも実際には、適切なサポートや働き方の工夫によって、仕事を続けられている方はたくさんいます。
働くうえで直面しやすいこと
指定難病を持つ方が仕事を探したり続けたりするうえでは、次のような課題が生じやすいと言われています。
体調の波があるため、毎日安定して出勤することが難しい場合があります。通院や服薬が必要なため、勤務時間や職場環境に一定の配慮が求められることも多いです。
また、外見からは病気がわかりにくいため、職場の理解を得ることが難しいというケースも少なくありません。
さらに、指定難病であっても障害者手帳の交付対象にならないケースがあり、「障害者雇用」の枠組みを使えないまま一般就労に挑む方も多く、「健常者でもなく、障害者でもない」という中間的な立場で就職活動に苦労することがあります。
指定難病のある方が活用できる就労支援
こうした状況を受けて、国や各都道府県では難病患者さんの就労を支援する体制を整備してきました。
ハローワークの専門援助窓口には「難病患者就職サポーター」が配置されており、病気の症状や特性を踏まえたきめ細かな就労支援を受けることができます。具体的には、就職先の選び方、企業への病気の伝え方の相談、面接への同行といったサポートが行われています。
地域障害者職業センターでは、職業評価や職業準備支援など、専門的なリハビリテーションサービスが提供されています。仕事に就きたい気持ちはあっても「まず何から始めればいいかわからない」という段階から相談できる場所です。
また、就労継続支援(A型・B型)や、就労移行支援といった「障害福祉サービス」も、障害者総合支援法の対象疾病を持つ方であれば、障害者手帳がなくても利用できる場合があります。
雇用契約を結ばずに、自分のペースで作業や仕事の練習ができる環境が整っているため、体調の波がある方にとって安心して一歩を踏み出しやすい選択肢のひとつです。
「まずは働くことに慣れる」という選択肢
一般就労がすぐには難しいと感じている方にとって、就労継続支援B型事業所は「仕事を通じて自分のペースを取り戻す場所」として機能しています。
週に何日通えるかを自分で調整できたり、体調が優れない日は無理をしなくていい環境だったりと、一般の職場とは異なる柔軟さがあります。「まずは外に出ること」「何かに取り組む習慣をつけること」を目標にしながら、少しずつ自信を積み重ねていく方も多くいます。
東大阪市にある「わんすてっぷ」について
東大阪市にある就労継続支援B型事業所「わんすてっぷ」では、指定難病を含む様々な事情を抱えた方が、それぞれのペースで作業に取り組んでいます。
「やってみたい」という気持ちを大切に、ひとりひとりの特性に寄り添った丁寧なサポートを心がけています。軽作業や八百屋でのレジサポート業務、ネイルの練習など、作業の内容もさまざまです。
「作業がしんどくないか不安」「ちゃんと通える気がしない」という方も、最初は見学や体験から始めることができます。
もしあなたが東大阪市やその近辺にお住まいで、かつ指定難病を患っていて「働きたいけれど、どこから始めればいいかわからない」と感じているのであれば、まずは気軽にご相談ください。
どんな状況でも、あなたの「一歩」を一緒に考えます。
わんすてっぷへの見学は、以下のボタンからお気軽にお問い合わせください。
まとめ
指定難病は2025年4月時点で348疾病が対象となっており、患者数は受給者証所持者だけでも100万人を超えます。病気の種類や症状は多様で、一概に「こういう病気」とひとくくりにすることはできません。
ただ、ひとつ確かなことは、指定難病を抱えながらも「働きたい」「社会とつながりたい」と思っている方がたくさんいる、ということです。そしてその思いを支えるための制度も、支援者も、少しずつ増えてきています。
「まずは情報を集めたい」という段階でも、「具体的に相談したい」という段階でも、このページがその足がかりになれば幸いです。各疾患の詳しい情報は、それぞれの子記事でも解説していますので、ぜひあわせて参考にしてみてください。
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